広告を出して、止めました

比較メディアを運営している会社が、自社のオンライン集客で外した話

結論から書きます。

自社で運営している格安SIM比較メディアから、オンライン広告を出していました。それを止めました。理由は、申込に繋がったものが1件も無かったからです。

この記事は、うまくいった話ではありません。自分たちで広告費を使って外した記録です。同じように「ネットからお客さまを増やせないか」と考えている方に、先に知っておいてもらえると無駄が減ると思って書いています。

何をやっていたか

やっていたことは単純です。

SNSに広告を出して、自社の通信費診断ツールに来てもらう。そこで「あなたの条件だとこの会社が合います」と出して、各社の申込ページへ送る。申込が成立したら、紹介した対価をいただく。比較メディアとしては一般的な形です。

広告は6本つくりました。「家族全員分を見直すと、これだけ変わります」「シニアの方なら、こういう使い方で足ります」といった切り口です。

数字は、動いていました

ここが、いま振り返ると一番の落とし穴でした。

広告の管理画面を見ると、数字は動いていました。広告は表示され、クリックされ、診断ツールまで来てもらえていました。「申込ページへ進んだ」という反応も、毎日記録されていました。

画面だけ見れば、順調に見えます。

ですが、その先が繋がっていませんでした。

各社の申込ページまでは送れていました。ですが、そこから実際に申し込んで開通まで進んだものは、1件もありませんでした。

「動いている数字」と「お金になる数字」は違う

これは、店舗を運営されている方には、たぶん説明が要らない話だと思います。

来店数が増えても、売上が増えるとは限りません。

私たちが見ていた「申込ページへ進んだ」という数字は、来店数のほうでした。お金になるのは、そこから先です。そして両者は、簡単に何倍も離れます。

広告の管理画面は、来店数のほうを大きく見せます。毎日その数字が増えていくので、うまくいっているように見えてしまいます。

止めると決めるまでに、この錯覚にしばらく付き合っていました。

止める前に、2つ分かりました

1. 実質、1本しか試せていなかった

6本つくったつもりでした。

ですが、配信の結果を並べてみたら、広告費のほとんどが1本に吸い込まれていました。「家族5人で、これだけ変わります」という切り口の1本です。

広告の配信は、反応が出たものに自動的に寄っていきます。反応が出やすい=クリックされやすい切り口に、予算が集まる。その結果、6本試したつもりで、実際には1本の結果しか見ていませんでした。

しかもクリックされやすい切り口が、申込まで繋がりやすい切り口とは限りません。むしろ逆のことがあります。

2. 呼びかけと、着いた先が噛み合っていなかった

もう1つが、より本質的でした。

「安くなります」と呼びかけると、安さを求めている方が来ます。そして診断ツールは、その方の条件に合う、いちばん条件の軽いプランを出します。当然です。それが正しい答えだからです。

呼びかけた内容が、そのまま着地する先を決めていました。

私たちは「広告の出来が悪い」と考えていました。でも実際は、呼びかけと、その先で起きることが、最初から噛み合っていませんでした。クリエイティブを作り直しても、この構造は変わりません。

一番大きかったこと

ただ、止めて一番良かったのは、前提が違っていたと分かったことです。

私たちは「比較して選べるようにすれば、ネットの中で完結する」と考えていました。情報を整理して、分かりやすく並べれば、そのまま申し込んでもらえるはずだと。

そうではありませんでした。

料金プランは、条件が細かく、例外が多く、家族の使い方によって答えが変わります。比較表を見て「なるほど」と思っても、最後の一歩は、人に聞いて確かめたくなる。

うちの数字は、そう言っていました。

だから、いま作っているもの

この結果を受けて、私たちが向かっているのは逆の方向です。

ネットの中で完結させるのではなく、店に来ていただく側の仕組みをつくる。

  • いまのページに、来店予約まで進む導線をつくる
  • 問い合わせが何件来ているかが、数字で見える状態にする
  • 19社の料金は当社が最新に保つので、改定のたびに直す作業をなくす

店頭で相談したいという方が実際に多いのなら、その入口を整えるほうが正しい。自社で試して、そう判断しました。

同じことを考えている方へ

もしこれから、ネット経由でお客さまを増やそうとされているなら、始める前に3つだけ決めておくことをおすすめします。

1. 「成功」を何で測るか、先に決める

来た数で測ると、まず間違えます。お金になったところまで測れる形にしてから始めてください。

2. いくらまで使うか、先に決める

「もう少し様子を見よう」は、いくらでも続きます。使う上限と、止める日を先に書いておく。私たちは先に決めていたので、止められました。

3. 呼びかけと、着いた先を揃える

何を言って呼ぶかで、来る人が決まり、来た人がどこへ進むかが決まります。クリエイティブより先に、この組み合わせを見てください。

読んでくださった方へ

私たちは、自社で先に試して、効いたものだけをお客さまにお持ちしています。この件は、効かなかったほうの記録です。

同じ壁にぶつかっている方がいらっしゃれば、その時にお話しできればと思います。

株式会社PlusPass 代表取締役 平井 雄大